インボイス制度が令和5年10月に施行されてから1年が経過しました。インボイスの要件を確認し、請求書または領収書等が要件を満たしているか確認していきましょう。
インボイス制度において、買手は消費税の仕入税額控除の要件として、原則、インボイス発行事業者(適格請求書発行事業者)から交付を受けたインボイス(適格請求書)等の保存が必要になります。インボイスは以下の要件が記載されていることが要件とされています。
① インボイス発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
② 取引年月日
③ 取引内容(軽減税率対象の場合は、内容及び軽減税率対象である旨)
④ 税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
⑤ 税率ごとに区分した消費税額等
⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
簡易インボイス(小売業・飲食店業・タクシー業等の不特定多数を相手にする事業)の場合は上記①~③のほか、以下の要件となります。
④税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額
⑤税率ごとに区分した消費税額等又は適用税率
懇親会等の参加費についてもインボイスの要件を満たしているかどうか確認する必要があります。通常、幹事が参加者から飲食代等として徴収した参加費をまとめて飲食店等に支払い、幹事のみインボイスを受領することが想定されます。その場合、原則として参加者は適格請求書等を受領していないため仕入税額控除ができない(令和8年9月末までは80%控除可能)こととなりますが、以下の方法により参加者は仕入税額控除が可能となります。(飲食店等が適格請求書発行事業者の場合に限る)
・幹事が飲食店等に依頼し、参加者ごとのインボイスを交付する方法
・幹事が参加者に対して立替精算書を作成・交付する方法
・幹事が各参加者名と各負担金額を記載した「参加者一覧表」を作成し、インボイスのコピーと併せて交付する方法
(1)TKCモニタリング情報サービス
TKCモニタリング情報サービスとは、年度決算書、月次試算表などの財務情報を金融機関に開示するクラウドサービスです。金融機関に紙の決算書の提供をすることなく、データで提供することができます。
サービス内容
1.決算書等提供サービス
貴社からのご依頼に基づいて、「法人税の電子申告後」に、融資審査・格付けのために金融機関へ決算書や申告書等のデータを提供するサービスです。
2.月次試算表提供サービス
貴社からのご依頼に基づいて、TKC会員事務所による「月次巡回監査の終了後」に、金融機関へモニタリング用の月次試算表等のデータを提供するサービスです。提供サイクルは「毎月」・「3ヶ月に1度」・「6ヶ月に1度」から選択できます。
(2)銀行信販データ受信機能
銀行信販データ受信機能とは、ワンクリックするだけで複数の金融機関(銀行や信販会社)からインターネットを利用して、通帳・クレジットカードの取引データを「自動で受信できる機能(仕訳の自動計上等ができます)」となっています。これによりATMでの通帳の記帳、インターネットバンキングの取引データのダウンロードの手間を省略することができます。
サービスの特徴として、①銀行信販データの自動受信機能、②仕訳の二重計上防止機能、 ③消費税の記帳要件を完全遵守、④仕訳ルールの学習機能、⑤仕訳元の銀行信販データの確認機能、⑥銀行残高と帳簿残高の検証機能があります。
※銀行信販データ受信機能を利用するためには、銀行の場合はインターネットバンキングの契約、クレジットカードの場合はWeb明細照会サービスの契約が必要です。
令和6年5月以降からキャッシュレス納付の利用拡大の取り組みによって税務署からの納付書の事前送付が取りやめられることとなりました。
なお、源泉所得税の徴収高計算書、消費税中間納付書は引き続き送付予定となっていますが、キャッシュレス納付は金融機関まで足を運ぶことなく納付ができますので経理事務の省略化につながるのではないかと思います。TKC電子納税かんたんキットを利用することで簡単にキャッシュレス納付が可能となっていますのでご利用をご検討ください。
TKC電子納税かんたんキットとは源泉所得税、個人住民税、法人税、消費税などの納税を金融機関の窓口に納付書を持参することなく、職場や自宅のパソコンから納税できるシステムとなっています。TKCの自計化システムをご利用の場合には無料でご利用可能です。
・電子納税かんたんキットによるキャッシュレス納付の手段
①インターネットバンキングによる納付
②ダイレクト納付(事前届出により登録した口座から引き落とされる方法)
③クレジットカード納付
(※)①インターネットバンキング、②ダイレクト納付について振込手数料は発生しませんが、③クレジットカード納付については納付税額に応じて手数料が発生します。
なお、②ダイレクト納付は事前届出後、利用可能となるまで概ね1ヶ月かかります。
・電子納税かんたんキットを利用する上でのメリット
①銀行窓口へ行かずに納税できる。
②複数の市区町村へ一括で電子納税できる。
③PXシリーズ等を利用している場合は電子納税かんたんキットと連携できるため、手計 算・転記によるミスを防止できる。
④電子納税の履歴をいつでも確認できる。
令和6年1月1日から、電子帳簿保存法により電子取引データは一定の保存要件で保存することが義務化されています。猶予措置は設けられていますが、税務調査等で書面の提示および電子取引データのダウンロードの求めに応じることができない場合は青色申告が取り消される可能性があるため、猶予措置に関係なく電子取引データの保存は速やかに対応するようにお願いします。
電子取引とは、注文書、契約書、送り状、領収書、見積書などのやり取りをEDI、電子メール、インターネット等で行う取引を指します。
なお消費税法のインボイス制度においても、電子データの適格請求書(電子インボイス)の保存を行うことで仕入税額控除が適用できます。
電子取引の保存方法について、以下の要件を満たす必要があります。
①システム概要書の備付け要件(システムを自社開発した場合)
②見読可能性要件(ディスプレイやプリンタ等の備付け)
③改ざん防止措置要件(タイムスタンプ・訂正削除履歴など)
④検索要件(取引年月日、取引先、取引金額など)
TKCの「証憑保存機能」を利用している場合は保存要件は満たしていますので、電子取引データの整理・保存をお願いします。(仕入先からメールで請求書等が送られてくる場合、NTT・ETC・ECサイト(Amazonなど)を利用しておりインターネット上で請求書等をダウンロードする場合など)
また原則として、電子取引で請求書等を交付する側についても相手方に送付したものと同じ状態の電子データを保存する必要があります。データベースに保存されており実際に相手方へ送付した請求書等と同じ状態のものを確実に復元することができる場合で、税務調査等の際に、実際に相手方へ送付したものと同じ状態を定形のフォーマットに出力するなどの方法によって遅滞なく復元できる場合には、データベースの保存をもって請求書等の控えの保存に代えることとして差し支えないとされています。電子取引の請求書等を請求書作成ソフトなどのシステムで作成していない場合(ワード、エクセル等で作成)は保存方法に留意する必要があります。
令和5年10月1日より適格請求書等保存方式(インボイス制度)が開始しています。インボイス制度の仕組み・登録の流れについて再度確認していきましょう。
インボイス制度において、買手は消費税の仕入税額控除の要件として、原則、適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)から交付を受けた適格請求書(インボイス)等の保存が必要になります。
また適格請求書を交付しようとする事業者は、納税地を所轄する税務署長から適格請求書発行事業者として登録を受ける必要があります。なお登録を受けることができるのは課税事業者に限られるため、インボイス登録を行うと消費税の納税義務が発生します。
登録を受けるためには、適用を受けようとする課税期間の初日から起算して15日前の日までに、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出する必要があります。
また事業年度の中途であっても、登録希望日(提出日から15日以降の登録を受ける日として事業者が希望する日)を記載することで、その登録希望日から適格請求書発行事業者となることができる経過措置(令和11年9月30日の属する課税期間まで)が設けられています。
なおインボイス登録を行った場合は、登録開始日以後2年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間について、登録を取りやめたとしても、免税事業者となることはできません。(令和5年10月1日を含む課税期間中に登録を受けた場合を除きます)
登録を取り消す場合は、取り消したい課税期間の初日から起算して15日前の日までに「登録の取消しを求める旨の届出書」を提出する必要があります。
なお、その提出が15日前の日を過ぎると翌々課税期間からの取り消しとなります。そのため翌課税期間から免税事業者となる見込みであっても、15日前の日を過ぎて届出書を提出すると翌課税期間は課税事業者として消費税の納税義務があり、翌々課税期間から免税事業者となりますので注意してください。
課税事業者となる場合または免税事業者となる場合は、インボイス登録または登録取り消しについて届出の効力・提出時期に留意する必要があります。